- 大変わかりやすい症例報告ありがとうございました。
①症例1の方の歩行時重心の前後制動低下(矢状面)に対して、中殿筋・大腿筋膜張筋(前額面)への介入を選択されたのは、前額面安定→矢状面安定に繋がるという考えでよろしいでしょうか? 矢状面に直接的に関連する筋へは電気刺激では介入しにくいということはありますか?
②症例2の方の希望の「自宅退院と歩行」についてはいかがでしたでしょうか? 大腿神経への電極貼付は鼠径部に近い位置になるかと思いますが、座位での練習でも貼ることはありますか?
③症例3の方は自主練習はどういった内容を行っていただいたのでしょうか? 最終評価時もStiff Knee Gaitが残存された(下腿筋への介入であったこともあるかと思います)ように見えましたが、そちらの病態はどう考えておられるかお考えをお聞きしたいです。 報告内容と直接関係のない質問もあり申し訳ありませんが、ご回答いただければありがたいです。よろしくお願いいたします。 -
①矢状面への介入として、大腿四頭筋、大殿筋、下腿三頭筋が考えられます。パワーアシストモードで実施しやすいのは大殿筋であり、大腿四頭筋と下腿三頭筋は重心制御に対する筋収縮量とアシストのコントロールが難しいので、実施するとしても大きな筋トルクが発生するまでアシストせず感覚レベルの介入となります。具体的には、歩行周期の筋活動を考慮すると電気刺激をしてほしいタイミング以外にも電気刺激が入ってしまい、意図したタイミングでの介入が難しくなるためです。
②症例2の方は入院リハビリテーションを継続しており、歩行は平行棒内で軽介助、4点杖にて中等度介助レベルです。膝折れは消失しましたが、体幹バランスの問題が残存しています。大腿神経への電極配置は座位でも可能ですが、脂肪層のたるみによっては電極がはがれる恐れがあるため、テープを張るなど固定には注意が必要です。
③症例3:子機を用いたFESによる歩行練習を積極的に実施していただきました。装具と併用して歩行練習等もしていただきました。先行研究(Lydia G Brough , 2022)においてはpush offでの足関節底屈の寄与が小さいこと、遊脚期での大腿四頭筋によるブレーキングが大きくなっていることがstiff kneegaitに関与していることが報告されています。本症例においても足関節の運動麻痺や、麻痺側下肢の痙縮が大きくなっており、筋電図、三次元歩行解析においてもそれが歩行障害に大きく関与していることが考えられています。今回IVESによる背屈筋補助は過剰な恐怖心とpull offは軽減し歩行速度改善に至りましたが、push offの改善による歩行速度への寄与は小さいことが考えられ最終評価においてもstiff knee gaitが残存したのではないかと考えています。一方で他先行研究では背屈筋FESによる推進力改善の報告もあるため、背屈筋FESによるstiff knee gaitとの関係性は今後も検証が必要かと思われます。
回答者:ウェビナー講師:生野先生
セミナー:第9回(6/14~6/21)
- 歩行センサがズレやすかったり、痙性麻痺で底屈に入って踵が浮いてしまう方が結構います。
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よく経験します。ズレる場合はサージカルテープで固定します。密着し過ぎるとセンサのオン・オフのセンシングが鈍くなるので、間にウレタンパットなどを入れます。
回答者:ウェビナー講師:生野先生
- センサトリガーモードとパワーアシストモードは歩行ではどのように使い分けていますか。
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センサトリガーは足関節の背屈に、パワーアシストは中殿筋に使用します。
回答者:ウェビナー講師:生野先生
- 歩行練習時に上肢に併用して電気刺激を行う場合の方法やポイントについて教えてください。
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歩行練習時は上肢のスイングをアシストする方法があります。(肩関節伸展や屈曲にIVESを実施する。)
回答者:ウェビナー講師:生野先生
- IVESと歩行の併用について教えてください。
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パワーアシストでは股関節外転筋に実施する方法や、大腿四頭筋、前脛骨筋に実施する方法があります。
回答者:ウェビナー講師:生野先生
- 歩行中、遊脚期に背屈の筋出力が不十分な症例(BRS-t:下肢Ⅳレベル)に対して実践する適当なモード(パワーアシストかトリガーモードか) について教えてください。
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遊脚期に背屈が不十分な場合はセンサトリガーモードが適応です。パワーアシストでも可能ですが、遊脚期以外の筋電も拾ってアシストするため設定の調整が必要です。
回答者:ウェビナー講師:生野先生
- センサトリガーモードの効果的な使い方、立ち上がり、立ち下がりの設定の工夫など教えてください。
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立ち上がり、立ち下がりに関しては対象者の歩行速度、歩容によって決定します。Pre-swingの際にオンが早すぎるとプッシュオフがしっかり出せない場合があります。逆に、遅すぎるとinitial swingの際に足尖が引っかかりやすくなります。Heel Contact時はオフが早すぎるとfoot slapになる場合、また、長くすることでロッカー機能である下腿の前傾を促せますが、長くし過ぎると立脚期の過度な膝屈曲を誘発します。
回答者:ウェビナー講師:生野先生
- 片麻痺の患者さんで随意性は高いのですが、反張膝や立脚期に骨盤が後退してしまう方へIVESを使用し歩行訓練をする場合のよいアプローチ方法があれば教えてください。
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反張膝や立脚期の骨盤後退に関しては、立脚初期における股関節外転外旋モーメントの低下、膝伸展モーメントの低下or過剰な伸展モーメント(同時収縮)、足関節背屈モーメントの低下、過剰な底屈モーメント(痙縮or随意収縮)などが考えられ、それぞれIVESを応用することが可能です。中殿筋に対するパワーアシスト、大腿四頭筋に対するIパワーアシスト、前脛骨筋へのセンサトリガー、下腿三頭筋へのパワーアシストやFEEなどが考えられます。
回答者:ウェビナー講師:生野先生
- ステージ3レベル、前脛骨筋にセンサトリガーで歩行練習を実施しようとすると通電しませんでした。問題は何が考えられますか?
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歩行センサが正しく反応していたでしょうか。踵にセンサを設置されていたかと思いますが、対象の方の歩容の問題でセンサが反応しなかったのかもしれません。
回答者:ウェビナー講師:生野先生
- 歩行中の筋収縮とIVESで刺激を入れた収縮は異なると思うのですが、それでも運動学習の効果はあるのでしょうか?
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電気刺激により生じる筋収縮で全ての運動を制御するというよりも、電気刺激により部分的に運動を補助することが目的になります。そのような場合には難易度調整や課題調整により学習効果が得られると考えられます。
回答者:ウェビナー講師:生野先生
- 立脚初期に膝が屈曲してしまう症例に対し、大腿直筋と内側広筋の組み合わせだけでなく、内側広筋と外側広筋に電極を貼るような組み合わせはどうなんでしょうか?
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初期の膝屈曲が生じる原因にもよると思われます。単純に膝伸展トルクが不足しているような場合は、内外側広筋に電気を実施することでも屈曲を防ぐことができる可能性があります。
回答者:ウェビナー講師:生野先生
- 動作練習中のパワーアシストモードの使用はイメージがついたのですが、歩行練習時にセンサトリガーではなく、パワーアシストモードを使用する例があれば教えてください。
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中殿筋や前脛骨筋の筋収縮が一部可能であるが不十分である場合には、補助するといった意味合いでパワーアシストモードを実施します。特に、中殿筋は運動麻痺が重度な方でも動作時に筋収縮が生じる方もいますので適用可能です。
回答者:ウェビナー講師:生野先生
- センサトリガーモードを使用する場合、周波数の大小で標的筋への効果の違いはありますか?
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FESを実施する場合、高周波(50Hz以上)では筋疲労が生じやすいため、途中で筋トルクが生じなくなってきます。FESとして長時間実施する場合は20Hzから多くて35Hzまでで設定するとよいかと思います。
回答者:ウェビナー講師:生野先生
- 歩行センサを手で持ってON・OFF操作することがあるのですが、それでもよいでしょうか?
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メーカーが想定している使用方法からは逸脱していますが、臨床上はアリかと思います(自己責任で使用してください。)。
回答者:ウェビナー講師:生野先生
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